2023.06.26
空気が支えるオフィスのウェルビーイング、カギはCO2濃度のコントロール
- #WELL認証
- #ウェルビーイング
- #活用事例

オフィスで働く人の健康やウェルビーイングのために、空気の質を良好に保つ換気の重要性が注目されています。その際のカギとなるのが二酸化炭素(CO2)濃度で、さまざまなソリューションに活かされています。ここでは、CO2濃度がどのようにウェルビーイングと関わっているかを明らかにした上で、具体的なソリューションについてもご紹介します。
CO2濃度とウェルビーイングの関係
ウェルビーイング(well-being)は、身体的・精神的・社会的に健やかで満たされた状態を意味する概念です。オフィスにおいてウェルビーイングの向上を図るということは、すなわち、働く人が心身ともに健康で、社会的に満足して働ける環境を目指すことを意味します。国際的な認証制度「WELL認証」の後押しもあり、近年多くの企業で取り組みが進み、さまざまなソリューションの助けを借りて働く人のウェルビーイングに配慮したオフィス空間が実現しつつあります。
こうした取り組みの中で、感染症対策のニーズと相まって特に重要視されているのが空気の質です。空気の質には、温度、湿度、CO2、PM2.5などが関わりますが、これらの条件が悪化すると、仕事の生産性ばかりか健康にまで影響を及ぼします。ウイルスやPM2.5のような有害物質のみならず、CO2についても、一定の濃度を超えると倦怠感や眠気、集中力の低下などを招くことがわかっています。
人は常に空気を吸いCO2を吐き出しているので、換気の不足した空間では、CO2濃度は徐々に上昇していきます。つまり人が集まって働くオフィスなどでは、適切な換気がなされない限り、CO2濃度は自ずと上がってしまうのです。このCO2濃度を下げるには、空気を入れ替える換気が必須です。窓を開けての換気やさまざまな換気システムを働かせる対策が重要で、その他の有害物質の澱みを解消する効果もあり、空気の質を良好に保つための決め手となっています。
CO2濃度は、CO2センサーを搭載した測定器で検知することができます。国が定める基準では、建物内の望ましいCO2濃度は1,000ppm以下で、この基準を上回ると早急に換気を行う必要があるとされています。このように、健康やウェルビーイングの基本である空気の状態を把握するために、また適切な換気を行うために、CO2濃度は大切なバロメーターと位置づけられているのです。
CO2は人体にどのような影響を与えるか
基準の1,000ppmを超えてCO2濃度が高くなると、眠気、倦怠感、頭痛、耳鳴り、息苦しさなどの症状が出てくることがわかっています。5,000ppm以上では、心拍数の増加や血圧の上昇などの変化が現れ始めます。10,000ppmを超えると、眠気や頭痛などの症状が強くなり、健康被害が出始めます。多くの場合に認識能力の低下も生じます。
オフィスでは起こりにくい状況ではありますが、30,000〜50,000ppmのCO2濃度で、めまい、呼吸困難、錯乱などの症状が見られるようになります。さらに高濃度のCO2環境に置かれると、二酸化炭素中毒に陥り、死に至ることもあります。
なお、オフィスの換気不足による影響は、CO2濃度の上昇にとどまらず、感染症のリスク増大、湿度上昇によるカビの発生、ダニやホルムアルデヒドなどのアレルゲン増加、給湯器や暖房器具などの不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスク上昇などにつながることも押さえておきましょう。
オフィスのCO2濃度をコントロールするためのソリューション
オフィスの空気の質、特にCO2濃度を良好に保つために必要なのが、適切な換気です。オフィスのウェルビーイングへの関心の高まりを受けて、換気対策として役立つソリューションが数多く生まれています。スマート技術を活用したものを中心にご紹介しましょう。

IoTセンサーで空気の質を「見える化」
空気中に含まれるCO2濃度、温湿度、PM2.5などのデータを、各種IoTセンサーを使って常時モニタリングし、空気の状態を把握します。画像センサーを活用して、混雑度や密集度とともにCO2濃度が高くなるエリアを特定することもできます。データはWi-Fiからインターネットを介してクラウドに保存され、PCやスマートフォンのほか、デジタルサイネージでも表示や確認ができるので、換気や人流のコントロールなどの対策につなげることができます。
自動換気のシステム
各種センサーと換気設備がネットワークでつながり、センサーからのデータをもとに適切なタイミングで自動換気がされるシステムも、すでに多くのビルやオフィスで運用されています。換気のコントロールに人の密集度などのデータを活かすことも可能で、センサーや空間スキャナといったセンシング技術が役立てられています。空気の質をモニタリングしながら、人の増減に応じて自動換気を行う、フレキシブルな換気システムも実現しています。
自動ドアによる換気コントロール
ビルやオフィスのエントランスに設置された自動ドアは、開口部が広く、空気の入れ替えに大きな効果が見込めます。この自動ドアにCO2センサーのシステムを組み合わせて、CO2濃度に合わせて自動ドアを開閉するIoTドアが実用化されています。CO2濃度が1,000ppmを超えると自動でドアが開いて換気を行う、自動換気のソリューションのひとつです。
従来の換気方法では、自動ドアを開放した状態で固定してしまうためエネルギーロスが大きく、空調の効率が低下し、温湿度を含めて室内環境を良い状態に保つことが困難でした。また、人の手による換気管理は不完全になりがちであることもデメリットでした。センサーの働きで必要最小限の開閉で換気できるIoTドアなら、こうしたデメリットは解消されます。
自動ドアの技術については、さらに一歩進めて細やかに開閉をコントロールするしくみも開発が進んでいます。季節や環境、通行する人に応じて、フレキシブルにドアの開閉を変化させることができるものです。これにより、無用なエネルギーロスを減らせるだけでなく、だれもが安心して通過できる人に優しい自動ドアが実現します。AIやIoTの技術を取り入れることで、ウェルビーイングの向上に役立つ機能が充実しつつあると言えるでしょう。
換気システムを備えた窓
一般に、ビルの既存の換気システムをグレードアップするには大規模な工事が必要となりますが、比較的容易に導入できるのが、窓部分に換気扇を仕込んだタイプの換気システムと言えるでしょう。室内の各種センサーと連動して働き、CO2濃度を良好な範囲に保つ換気を行います。スマートに吸気・排気を切り替えて、内外温度差の激しい夏季や冬季でも、室温を維持しながら換気を行うことが可能です。
まとめ
オフィス環境を構成する要素のうち、近年特に重要視されているのが空気の質です。空気の質を良好に保つためには、CO2濃度に着目して換気対策を講じる必要があります。すでに実用化しているソリューションも少なくありませんが、新たな開発も進んでいます。オフィスで働く人のウェルビーイング向上のため、引き続き注目していきたいものです。