2025.09.03
スマートビル・スマートシティを支えるセンシング技術とは?
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脱炭素化や都市機能の高度化を目指すスマートビル・スマートシティにとって、センサーを中心としたセンシング技術は不可欠な要素となっています。エネルギー効率化や快適性の向上、防災・安全対策など、多岐にわたる分野で活用が進み、新たな都市のあり方を形作ろうとしています。本記事では、スマートビル・スマートシティにおける主要なセンシング技術の用途と導入事例を整理し、今後の展望と課題についても考察します。
スマートビル:快適性と省エネを両立するセンシング活用
スマートビルにおいては、温湿度センサーやCO2センサー、人感センサーなどの環境センサーが中核的な役割を果たしています。
温湿度センサー
温湿度センサーは、室内の環境変化をリアルタイムに監視し、AIと連動して空調を最適制御。温度ムラをヒートマップで可視化することで空調制御を細分化し、年間600万円以上の電力コスト削減やCO2排出量の削減を達成した例もあります。
CO2センサー
CO2センサーは、室内の空気の状態を常に見守り、適切な換気を促すことで快適な環境づくりに役立ちます。一定のCO2濃度を超えた際に自動的に換気を行うことで、安全性と快適性を保ちながら、必要以上の換気によるエネルギーの無駄を防ぐことができます。
人感センサー
人感センサーは、人の在不在を検知して照明や空調を自動制御することで無駄な稼働を防ぎ、省エネと業務効率の向上を同時に実現します。近年では微動検知型の高精度センサーも登場し、長時間の静止作業が続くオフィスや会議室でも、快適性を損なわずにエネルギー消費を抑える運用が可能になっています。
このような環境センサーの導入事例として、グランフロント大阪などの先進ビルでは、温湿度・CO2・人感センサーのデータをAIが統合的に解析し、最適な照明・空調制御を実現しています。
また、センシング技術の効果を最大限に引き出すには、各種センサー情報を統合し、一元的に制御・監視できるIoTプラットフォームの存在が重要です。センサーの種類やメーカーが異なっても柔軟に接続でき、リアルタイムなデータ分析と最適な制御を支援する仕組みが、スマートビルの持続可能性と運用効率を支えています。
〈参考〉次世代型エネルギーマネジメントプラットフォーム「Familia Energy」
ハウディは、IoT、AI、クラウドなどの最新技術を活用したエネルギーマネジメントプラットフォーム「Familia Energy」を提供しています。IoTセンサーによって収集される電力量や温湿度のデータを可視化し、設備を自動制御して建物全体のエネルギーの浪費を防ぎます。IoTセンサーやワイヤレスアダプターを用いることで導入時の工事を最小限に抑えられるため、導入コストを削減できるメリットもあります。

スマートシティ:都市全体の安全・快適・効率化を実現
スマートシティでは、個別の建物を超えてエリア全体の監視・管理が求められます。ここでも、さまざまなセンサーが役割を担っています。
騒音センサー
騒音センサーは交通量の多い道路や工業団地周辺に設置され、AIが異常騒音を自動検知します。沖縄県うるま市では、ドリフト走行など危険運転の検出にこの仕組みが活用され、取り締まり強化や抑止に向けた実証が行われています。
水位センサー
水位センサーは河川や下水路に設置され、雨量・気象データと組み合わせてAIが洪水リスクを事前に予測。住民への避難情報発信や道路閉鎖の判断を迅速に行うことができ、自治体の防災対応力を高めています。
振動センサー
振動センサーは橋梁や高層ビルなどに設置され、地震や大型車両通過による揺れを常時監視。異常値を検知すると管理者に即時通知され、地震時の被害の最小化や老朽化したインフラの予防保全に貢献しています。
これらのセンサーから得られるデータは、AIによる解析を経て、都市のさまざまな運営にリアルタイムで反映されつつあります。交通信号制御、交通流の最適化、災害時の避難誘導などに活かされ、高度な予測制御を可能にしています。
中国・杭州市では、4,000台以上のカメラ・センサーを組み合わせた「ET City Brain」が、AIによるリアルタイム分析で交通信号の自動制御、事故・渋滞の早期検知、緊急車両の優先通行、安全監視などを実現しています。国内でも複数の都市で、人流・気象・交通・インフラのデータを統合管理し、都市OSやデジタルツインと連携する取り組みが始まっています。これにより、都市全体の効率化とレジリエンス向上が期待されています。
〈参考〉最新スマートシティ動向 世界はここまで進んだ!
センシング技術の展望と課題:持続可能な都市をめざして
スマートビルやスマートシティが今後さらに発展していくためには、エナジーハーベスティングやエッジAIなどの次世代技術が欠かせません。これらは、既存のセンシング技術の欠点を補完しながら、都市空間のさらなる高度化を可能にします。
エナジーハーベスティング
エナジーハーベスティングは、太陽光や振動、温度差などから微小な電力を得てセンサーを駆動させる技術です。配線や電池が不要となるため、センサーの設置自由度や維持管理の容易さが飛躍的に向上します。これにより、地下や橋梁、高所など従来設置が難しかった場所への展開も可能になります。
エッジAI
エッジAIは、センサーからのデータをクラウドに送らずに現場で即時解析・制御する技術で、遅延のないリアルタイム対応や通信負荷の軽減を実現します。異常振動や漏水、温湿度の急激な変化などをその場で検知・判定し、必要なアクションだけを通知してくれるため、都市全体の管理が効率化します。
〈参考〉次世代センシング技術の最新動向 ~ センサーが変えるエネルギー・都市・人の未来
一方、スマートビルやスマートシティの広がりとともに、取り組みべき課題も見えてきました。例えば、異なるセンサーやシステム間のデータ連携の標準化、不正アクセスや情報漏洩を防ぐサイバーセキュリティ対策、既存建築物や老朽化したインフラへの適用性、費用対効果の可視化などが挙げられます。
これらを解決するカギとなるのが、柔軟性に優れたIoTプラットフォームであり、現場での運用ノウハウや人材の整備と合わせて、技術と人の両面からのアプローチが期待されています。
まとめ
センシング技術は、スマートビルやスマートシティにおいてエネルギー効率や快適性、防災性などを大きく向上させる中心的な基盤です。さまざまなセンサーがIoT・AI技術と融合して進化することで、都市や建物の運用はより賢く柔軟になりつつあります。今後も、先進的な技術を取り込みながら、スマートで持続可能な都市や建物の環境づくりを進展させていくことでしょう。