2024.08.28
GXとは?~ カーボンニュートラルへの取り組みから目指す未来
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地球温暖化がもたらす影響が世界規模で深刻さを増し、温室効果ガスの削減が緊急課題とされる今、耳にする機会が増えているのが「GX」という言葉です。ここでは、あらためてGXの意味を明らかにし、政府や民間企業が進めている取り組みやDXとの関連についても解説します。
GXとは?
GXは、Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略称です。温室効果ガスを発生させる化石燃料をできるだけ使わず、太陽光発電や風力発電などのクリーンなエネルギー中心へと転換していくとともに、その取り組みを経済成長の機会ととらえて世の中全体を変革していくことを意味します。
現在、世界各国の政府や民間企業、また市民レベルに至るまで、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの削減に取り組んでいます。日本政府も、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言しています。
カーボンニュートラルを達成して脱炭素社会を目指すには、産業革命以来続いてきた化石燃料に依存する社会の仕組みそのものも変わっていかざるを得ません。そして、これをポジティブに受け止めて成長戦略とし、産業競争力を高めて経済成長につなげていく姿勢が必要とされています。GXは、温室効果ガス削減と経済成長を同時に実現させるための「経済社会システム全体の変革」と考えることができるでしょう。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いて、プラスマイナスゼロ(ニュートラル)にすることを意味します。ここで言う吸収量には、植林や森林管理を通じて吸収する量に加えて、回収して地中に埋めるなどの技術により除去する量が含まれます。温室効果ガスの排出量からこれらの吸収量を差し引き、全体としてゼロ(実質ゼロ、ネットゼロと同じ)の状態がカーボンニュートラルです。
温室効果ガスの排出量そのものを削減する努力は続けられていますが、ゼロにすることが難しい分野もあることから、より現実的なアプローチとして実質ゼロを目指すカーボンニュートラルの考え方が広がりました。2021年時点で、世界の140ヶ国以上が「2050年までのカーボンニュートラル」を表明しています。

カーボンニュートラルと脱炭素の違い
温室効果ガスとは、二酸化炭素(CO2)、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなど、大気中の熱を吸収する性質のあるガスのこと。この温室効果ガス全体を対象に、排出量と吸収量のバランスで実質ゼロを目指す考え方が「カーボンニュートラル」です。一方「脱炭素」は、温室効果ガスのうち約75%を占めるCO2に焦点を当て、その排出量ゼロを目標としています。
ただし、「脱炭素」には明確な定義がなく、「カーボンニュートラル」と「脱炭素」が目指す未来は同じくCO2排出量ゼロを達成する「脱炭素社会」であることから、この2つの用語は多くの文脈において同じ意味で使用されています。
カーボンニュートラル実現のための対策
カーボンニュートラルを実現するには、排出量と吸収量の双方における取り組みが必要です。排出量については、大きな割合を占める発電部門での脱炭素化は大前提ですが、省エネや電化をはじめとするさまざまな対策が進んでいます。排出量と相殺できる吸収量を増やす対策についても、新しい技術を含めた具体例をご紹介します。
電源の脱炭素化
CO2の排出量が大きな発電において、CO2を排出しない電源に転換していくことが不可欠で、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーを導入する動きが活発化しています。太陽光発電や風力発電には気象に左右される弱点があるため、電力を貯める蓄電池の性能向上も図られつつあります。
原子力発電については、発電時にCO2を排出せず再利用も可能な電源のひとつですが、安全性が大前提であることから依存度を高めにくい現状があります。また、既存の火力発電所では、燃料に水素やアンモニアを混ぜて燃焼することでCO2排出を減らす取り組みや、CO2の回収技術と組み合わせて脱炭素化する取り組みも行われています。
エネルギー転換・電化の推進
発電を除く分野でも、使用するエネルギー源をより低炭素なものや水素、バイオマス、合成燃料などに転換することでCO2の排出量を低減しています。鉄道では、再生可能エネルギーを100%活用した運行が始まったほか、エネルギーを効率よく変換するデバイスの製作も行われています。
エネルギーを転換していく対策の中で、中心となるのが電化です。ガソリンを燃焼させて走る自動車からEV(電気自動車)へ、またガスコンロからIHクッキングヒーターへの切り替えなど、電化は身近なところでも進んでいます。電化の推進により電力消費が増えるため、電源自体の脱炭素化とセットでの推進が急がれています。
省エネ・エネルギー効率の向上
カーボンニュートラルへの対策として、エネルギー消費量そのものを減らすことは基本中の基本と言えるでしょう。エネルギー消費量を減らすための省エネ対策は、あらゆる分野で真っ先に向き合うべき取り組みとされています。
省エネの中でも特に電気の消費を抑える節電については、デジタル技術の活用によって大きな成果を出し始めています。産業界から暮らしのすみずみまで、デジタル化による省エネが実現しつつありますが、その効果は、たとえば近年増えつつあるスマートホームやスマートビルをイメージするとわかりやすいかもしれません。エネルギー効率の高い製品の開発も進み、エネルギー消費を抑える効果が期待されています。いずれも、後述するようにデジタル化やDXが大きな役割を果たしています。

吸収量・除去量の増加
植林を中心とした森林の整備を進めて、光合成に使われる大気中の二酸化炭素の吸収量を増やす活動が行われています。また「ネガティブエミッション技術」と呼ばれる技術を用いて大気中の二酸化炭素を減少させる取り組みも始まっており、大気中の二酸化炭素を直接回収して貯留する技術「DACCS」や、バイオマス燃料使用時に排出される二酸化炭素を回収して地中に貯留する技術「BECCS」などが知られるほか、CO2吸収型コンクリートも実用化しています。
GX実現のカギはDXにあり ~「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
2020年、日本は「2050年カーボンニュートラル」の宣言とともに、経済産業省を中心に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。その中で、電力部門の脱炭素化を大前提とした上で、「デジタル化による省エネ効果は、あらゆる産業に大きく寄与するもので(中略)あらゆる産業分野においてデジタル化、デジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しすることが必要である」と述べています。
さらに、デジタル化によるエネルギー需要の効率化・省CO2化を「グリーン by デジタル」と呼び、「デジタル化の進展は、人・物・金の流れの最適化が進むことなどを通じ、エネルギーの効率的な利用・省CO2化にもつながる」と説明しています。具体的には、企業のシステムをクラウド化することによって8割の省エネが達成できることや、テレワーク・オンライン会議によって移動に伴うエネルギーを削減することができることを例として取り上げています。
まとめ
GX実現のための取り組みは、カーボンニュートラルの考え方から、CO2を排出しないクリーンエネルギーへの転換を中心に、電化の推進や省エネ、脱炭素技術の開発などを併せて進めていく必要があります。むしろ経済成長の機会ととらえ、DXの推進を含めて積極的に取り組んでいきたいものです。
〈参考〉
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(経済産業省)