2023.03.01
センシングサイネージ最前線 ~ 概要から注意点、最新導入事例まで
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電車の車内や駅構内で、また店舗や街頭で、ポスター広告や看板に代わってディスプレイなどのデジタル映像機器が目立ってきました。そこに最適なコンテンツを配信するしくみとして、近年注目されているのがセンシングサイネージです。ここでは、センシングサイネージの概要や注意点とともに最新の導入事例をご紹介します。
センシングサイネージとは
センシングサイネージは、デジタルサイネージ(*)の進化形と言えるでしょう。デジタルサイネージにセンシング技術を取り入れ、AIカメラやセンサーなどのIoT機器で収集したデータを活用して、適時適切なコンテンツを表示できるのがセンシングサイネージです。
*デジタルサイネージとは、電子看板とも呼ばれるように、デジタル映像機器を使用して広告や案内などのコンテンツを配信するシステムのこと。交通機関、店舗、オフィス、公共施設など、さまざまな場所に設置されています。表示するコンテンツは、あらかじめ組まれた内容と順序で配信するのが一般的です。
センシングサイネージでは、カメラやセンサー機器を利用して、近くにいる人の性別・年代、人数、天候、温度、湿度などのデータを収集します。このデータをもとに、広告のコンテンツを臨機応変に変えたり、案内表示に反映させたりしています。
広告目的のサイネージでは、たとえば暑い日には冷たい飲み物の広告を、女性が多ければ美容や化粧品の広告を、それぞれ選択して表示することができます。カメラで検知した店舗やオフィスの混雑状況を、リアルタイムで表示できるサイネージも実現しています。
センシングサイネージで注意すべき点
センシングサイネージの導入にあたって欠かせないのは、プライバシーへの配慮です。カメラで「見られている」ことを不快に感じる人も多く、知らないうちにセンサーがさまざまなデータを取得し不適切に利用されるのではないかという懸念も持たれているからです。
これを踏まえて取りまとめられたのが、「センシングサイネージガイドライン」(一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム)および「カメラ画像利活用ガイドブックVer.2.0」(IoT推進コンソーシアム、総務省、経済産業省)です。センシングサイネージを導入する際には、この2つの指針に沿ってプライバシー保護を行っていくことが重要です。
「センシングサイネージガイドライン」に準拠したセンシングサイネージでは、カメラのとらえた映像が録画されることはありません。匿名化されたデータのみを活用し、個人の特定や個人情報の流出が起こらないように対策されています。また、正しく運用されているセンシングサイネージには、申し出によりシンボルマークの表示が許されているので、目印となっています。

導入事例
センシングサイネージは、効率よく効果が期待できる広告配信として、また情報案内として、幅広い分野で導入が進められています。具体的な事例を見ていきましょう。
鉄道車両内
埼玉高速鉄道では、車両内ドア上部にセンシングサイネージ「ダイナミックビークルスクリーン」を2019年11月より順次設置し、2020年4月より本格的に運用しています。鉄道車両内では世界初となる取組みです。
埼玉高速鉄道:埼玉高速鉄道新車両ビジョン『ダイナミックビークルスクリーン』4月より本格営業を開始
「ダイナミックビークルスクリーン」では、筐体内に搭載したカメラやセンサーで車両内の温度や湿度、混雑状況、乗客の属性などのデータを収集し、AIで解析して車両内の状況に応じた広告をリアルタイムで切り替えながら表示しています。広告のほか、列車の遅延・運休などの運行情報、気象情報、災害情報などの提供も可能で、2023年1月末からは、日本気象協会による天気予報を配信しています。
オフィス
2021年4月にNTTコミュニケーションズが開設した共創環境施設「CROSS LAB for Smart City」に、センシングサイネージが導入されています。ラボ内に設置されたカメラやセンサーから、現在の混雑状況、在席状況、環境情報(温度、湿度、二酸化炭素濃度)のデータを収集し、「Smart Data Platform for City」のシステムと連携してディスプレイに表示しています。入退ゲートの近くに設置され、利用者に情報提供をしています。
NTTコミュニケーションズ:CROSS LAB for Smart City
スマートビル
2020年9月に開業した「東京ポートシティ竹芝」では、商業施設の全店舗にAIカメラを設置。館内約30カ所に設置されたディスプレイでは、カメラからのデータをもとに、お店やトイレの混雑状況をリアルタイムで表示できるしくみとなっています。
東京ポートシティ竹芝:スマートビル
小売店舗
小売店舗では、ディスプレイにセットしたカメラで来店者の性別や年代を認識し、それに合わせてコンテンツを自動で切り替えるセンシングサイネージが広く活用されています。来店者がより好みそうなコンテンツが流せるので、販売促進につながっています。
街頭サイネージ
街角の広告ビジョンに、通行人に合わせたコンテンツを配信するセンシングサイネージも登場しています。一例として、ドラッグストア「アインズ&トルペ新宿東口店」では、ディスプレイ上部に設置したカメラで通行人の性別を判断し、それに合わせたインタラクティブコンテンツを放映して集客を図っています。
まとめ
センシングサイネージは、センシング技術との連携によってデジタルサイネージの可能性を広げました。広告配信においても情報案内においても、新しい価値をもたらしています。今後もスマートシティへの取組みにおいて検討されるなど、広く導入が進むと予想されますが、ガイドラインを遵守し、社会に安心して受け入れられる発展が望まれます。