2023.09.04

オフィスを「光」と「音」で快適に! ~オフィスのウェルビーイング

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ウェルビーイングに配慮した快適で働きやすいオフィス環境のためには、空気、温度・湿度、光、音など、さまざまな条件において改善にむけた取り組みが必要です。その中で今回は、光と音に焦点をしぼり、ウェルビーイングとの関係性や主にスマート技術を活用したソリューションを見ていきましょう。

「光」とウェルビーイング

「光」に関するソリューション

ウェルビーイング(well-being)は、身体的・精神的・社会的に健やかで満たされた状態を意味する概念です。オフィスにおいてウェルビーイングの向上を図るということは、すなわち、働く人が心身ともに健康で、社会的に満足して働ける環境を目指すことを意味します。

参考ウェルビーイングとは? いまオフィスが目指すべきウェルビーイングを解説

このオフィス環境を左右する要素のひとつに「光」があります。自然光だけでなく、あらゆる光が人の心身の健康に影響することがわかっており、オフィスのウェルビーイングのためには、自然光や照明を適切に活用することが重要と言えます。

オフィスの照明を改善する取り組みについては、従来省エネを目的としたものが中心でしたが、ウェルビーイングの視点からも、新たなソリューションが数多く生まれています。

・サーカディアン照明
人の体内に備わるサーカディアンリズム(*)に合わせるように、自然光に近づけた照明を「サーカディアン照明」と呼びます。オフィス空間では自然光を十分に浴びることは困難ですが、LED照明で光の量(明るさ)や光色(色温度)を調節することで、自然光に近づけた照明が可能となっています。

*サーカディアンリズムとは、人を含め生物に備わる約24時間周期のリズムのことです。概日リズムとも呼ばれます。体温・血圧・自律神経・ホルモン分泌などの調節を担い、このリズムの乱れが長引くと、睡眠をはじめとして健康に悪影響が出る場合があります。リズムを正常に整えるためには、規則正しい生活が基本になりますが、朝日を浴び、夜は光を抑えるなど、光が大きな役割を果たしていることがわかっています。

調光・調色機能を備えた照明によって、朝から昼、夕暮れ、夜までの光の移り変わりを、明るさと色温度の変化で表現します。具体的には、午前中のオフィスは高照度・高色温度に設定し、午後は徐々に照度と色温度を低下させていきます。 人工的な照明であっても、自然光のような光の変化を再現することで、作業に必要な明るさを保ちながら、オフィスで働く人のサーカディアンリズムを維持することを目指します。

・照明制御システム
照明をネットワーク化することで、照明を効率よく管理できるだけでなく、快適性も向上します。各種センサーとの連携などにより、照明を必要な明るさにきめ細かく調整することができるようになりました。空間の利用者が不快感を感じることのない調光や消灯を目指し、省エネと快適性の両立を図っています。

・タスク・アンビエント照明
タスク・アンビエント照明とは、「Task(作業) and Ambient(周囲) Lighting(照明)」の日本語訳です。複数種の照明を組み合わせて、作業する場所や対象に合わせて必要な部分だけを明るくする照明スタイルを指します。天井の全体照明のみで部屋の隅々まで一律に明るくする従来の照明手法とは異なり、各個人のニーズに対応しやすいため、効率的で快適なオフィス環境を作ることができるとされています。各種センサーとの連携も進んでいます。

全体照明とタスク・アンビエント照明の比較図

導入事例

・アイリスグループ東京アンテナオフィス
オフィス内の照明は、無線方式の照明制御システムでコントロール。サーカディアン照明を採用し、時間に応じて調光・調色を行っています。たとえば、始業時間から30分間は昼光色の明るい光で体を活発化させ、終業後は徐々に色温度と照度を下げて帰宅を促します。また、エリアの特性に合わせて照明をコントロールし、働き方に適した環境を整えています。こうした取り組みにより、ウェルビーイングに重点を置いた評価システム「WELL認証v2」を取得しています。

参考WELL認証とは? オフィス空間の新基準をご紹介

・清水建設北陸支店新社屋
人を中心とした照明を目指し、サーカディアン照明やタスク・アンビエント照明、昼光利用など、省エネ性と健康、快適性を高いレベルで両立した照明設計となっています。

「音」とウェルビーイング

空調音や着信音、話し声など、オフィスにはさまざまな音が溢れています。耳障りな雑音や騒音は、注意力を散漫にし集中力を邪魔してしまいます。生産性を低下させるとともに、働く人のストレスとなって満足度の低下をもたらします。オフィスのウェルビーイングを考える際には、音の環境にも配慮したいものです。

「音」に関するソリューション

耳障りな音の中でも、最も気になるのが話し声だと言われています。他の騒音と合わせて、騒音への不快感を軽減するソリューションを見てみましょう。

・サウンドマスキング
会議室のように音が発生する空間で、あえて他の音を流すことで、音や会話が漏れることを防ぐシステムを「サウンドマスキング」と言います。音で音を消す仕組みで、使われるのは、空調音や川のせせらぎのような環境音が多いようです。サウンドマスキングによって、周囲で働く人の集中力を邪魔することなく、また、秘匿性の高い会話などを周囲に聞こえにくくする効果があります。

サウンドマスキングの図

個人スペースと共用スペースが隣接するレイアウトのスマートワークプレイス向けには、個人の位置情報と連携して、必要な時に必要な場所にだけマスキング音を放射するシステムも生まれています。

・音環境設計
音環境は、音の拡散と反響を抑える防音・吸音型の壁材を使用することで大きく改善します。それぞれのニーズに合った音環境の条件については、初期設計段階の3次元CADデータを利用したシミュレーションツールなどを用いて検討することができます。

導入事例

・コニカミノルタジャパンe-base3
会議室とWeb会議専用の個室ブースをまとめてセンターに配置し、その周囲をぐるりとフリーアドレスの業務スペースが取り囲むレイアウトを特徴とするオフィスです。サウンドマスキングを採用し、会議室と個室ブースのパーティション上部にスピーカーを上向きに設置することで、会議室から漏れる音声を聞き取りにくくしています。

さらにオープンスペースにもスピーカーがセットされ、業務集中力や居心地の良さを高める効果を狙っています。商談スペースには心地よい鳥のさえずりなどを含む森の音、ミーティングスペースにはにぎやかなカフェ内のような音、奥のリラックススペースには川のせせらぎの音をそれぞれ流し、コミュニケーションの活性化を目指しています。

・パナソニック・システムソリューション開発センター
1981年竣工の社屋を2018年にリニューアルし、3階のオフィスエリアでは、光と音による環境ゾーニングを導入しました。場所や時間帯によって照明の明るさ・光色やBGMの種類を変え、仕事内容や気分に応じて働くエリアを選べるようにしたもので、働きやすいオフィス環境の実現を目指しています。

まとめ

オフィスの快適性を左右する要素のうち、光や音についても、近年ウェルビーイングの視点からのソリューションが新たに生まれ、注目される分野となっています。働き方が多様化する中、求められるオフィス環境も変化しつつありますが、空間における光や音の役割を理解し、積極的に取り組んでいきたいものです。

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