2024.11.08

ZEBとは?~ 基礎知識から補助金制度まで解説

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エネルギー効率の向上とカーボンニュートラルの実現は、現代の建築や都市開発における最重要課題の一つです。その解決策として、ZEB(ゼブ:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)が世界中で注目されています。この記事では、ZEBについての基礎知識や成功事例のほか、国や地方自治体が実施している補助金制度についてもご紹介します。

ZEBとは?

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、省エネ技術と再生可能エネルギーを活用する創エネ技術を組み合わせて、建物の年間一次エネルギー消費量を実質ゼロにすることを目指す建築物です。エネルギー効率を最大限に高めながら、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献します。

ZEBには主に4つの種類があり、エネルギー削減率と創エネの有無によって区別されます。

  • ZEB(ゼブ)
    年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物。省エネで50%以上、創エネを含めて100%以上のエネルギー削減を達成。
  • Nearly ZEB(ニアリーゼブ)
    ZEBに近い建築物。省エネで50%以上、創エネを含めて75%以上のエネルギー削減を実現。
  • ZEB Ready(ゼブレディ)
    省エネのみで50%以上のエネルギー削減を達成した建築物。創エネは含まない。
  • ZEB Oriented(ゼブオリエンテッド)
    ZEB Readyを目指す建築物。用途により30%または40%以上の省エネを実現。大規模建築物向け。
ZEBの種類の画像
ZEBの種類と定義(出典:環境省ZEB PORTAL)

ZEBを実現するためには、複数の高度な技術を組み合わせる必要があります。例えば、断熱性能の向上のために、高性能な断熱材や二重ガラスを使用し、冷暖房に必要なエネルギーを大幅に削減します。さらに、エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入することで、建物全体の照明や空調などによるエネルギー使用をリアルタイムで管理し、無駄のない効率的な使用につなげます。また、再生可能エネルギーとして太陽光発電パネルを設置し、建物が必要とするエネルギーを自ら生成し、外部エネルギーへの依存を減らします。

ZEBを実現するための技術のピラミッド図
ZEBを実現するための技術(出典:環境省ZEB PORTAL)

ZEB導入のメリット

ZEBの導入にはさまざまなメリットがあります。以下に主なものをまとめます。

  • エネルギーコストの削減
    高効率な省エネ技術と再生可能エネルギーを組み合わせることで、建物の運用コストを大幅に削減できます。企業や建物所有者にとっては、光熱費の削減が大きな魅力です。
  • 環境への貢献
    CO2排出量を大幅に削減し、地球温暖化の防止に寄与します。カーボンニュートラルの実現に向けた重要なステップとして、持続可能な社会づくりをサポートします。
  • 快適な生活環境
    高断熱・高気密の設計により、外気の影響を受けにくい安定した室内環境が実現します。これにより居住者や従業員の快適性が向上し、生活や業務の質が高まります。
  • 都市全体のエネルギー効率向上
    ZEBの普及により都市全体のエネルギー消費が抑制され、持続可能なエネルギー利用が促進されます。都市全体のエネルギー効率も向上します。
  • スマートグリッドとの連携
    ZEBとスマートグリッド(*)や分散型エネルギーシステムが連携することで、地域全体での効率的なエネルギー管理が効率化します。エネルギーの供給と需要が柔軟に調整され、エネルギーの安定供給が図られます。

*スマートグリッドとは、IoTやICTを活用して電力供給と需要を双方向で管理し、効率的かつ安定したエネルギー供給を実現する次世代の電力システムのこと。

ZEBの成功事例

国内外においてすでに多くの商業施設や公共施設がZEB化されており、エネルギー効率と快適性を両立しています。国内の代表的な事例を紹介します。

大成建設技術センターZEB実証棟(神奈川県)

太陽光発電とEMSの組み合わせで年間エネルギー収支ゼロを達成。オフィスビルとして運用され、ZEBのモデルケースとなっています。

北海道庁のZEB化プロジェクト

北海道消防学校校舎や中標津合同庁舎をはじめとする複数の道有建築物において、Nearly ZEBやZEB Readyレベルの認証を取得しています。寒冷地の特性を考慮した設計や技術をもとに省エネ技術と再生可能エネルギーを活用し、寒冷地におけるエネルギー効率の最大化を図っています。

ZEBを促進する政策と補助金制度

ZEBの普及を促進するために、国や地方自治体ではさまざまな支援策が展開されています。政府の目標として、2030年までに新築建築物の省エネ基準をZEB基準に引き上げることが掲げられており、これに向けて法制度や指針の整備が進められています。

国による支援策としては、令和6年度時点で次のような補助金制度が実施されています。

環境省「新築建築物ZEB普及促進支援事業」「既存建築物ZEB普及促進支援事業」

民間事業者や地方公共団体の新築・既存の業務用施設を対象とし、補助率は新築で1/3〜2/3、既存建築物で最大2/3。補助金の上限は5億円です。

経済産業省「住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業」

大規模建築物のZEB化を支援。ZEBの設計ノウハウが確立されていない民間の新築・既築建築物を対象に、補助率は補助対象経費の2/3、補助金上限は年5億円あるいは複数年度事業の場合は事業全体で10億円です。

地方自治体においても、それぞれの地域特性に合わせた補助金制度が設けられており、ZEBの普及を通じて脱炭素化を推進しています。以下にその一例を示します。

千葉県「業務用建物脱炭素化設計支援事業補助金」

ZEBのBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)取得を目指す新築や改築に対し、延床面積に応じて最大200万円が支給されます。

札幌市「ZEB・ZEH-M設計支援補助金」

ZEBやZEH-M(マンションのZEB)を対象に、延べ面積に応じて最大300万円が補助されます。

福岡市「脱炭素建築物誘導支援事業」

福岡市内で脱炭素化を目指す建物に対して、延床面積に応じて最大300万円が補助されます。

まとめ

ZEBは、エネルギー効率の向上とカーボンニュートラル実現のために不可欠な要素です。高性能な省エネ技術と再生可能エネルギーを組み合わせたZEBの導入は、社会全体に多大なメリットをもたらします。持続可能でエネルギー効率の高い未来を築くために、ZEBのさらなる普及に向けて今後一層の取り組みが期待されています。

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