2025.04.15
IoTで加速するデマンドレスポンス(DR)~ 低コストで実現する省エネ戦略
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エネルギー価格の高騰やカーボンニュートラルへの対応が求められる中、企業のエネルギー効率化が急務となっています。その中で注目されているのがデマンドレスポンス(DR)で、近年のIoT技術の進歩により、従来よりも低コストで導入できる環境が整いつつあります。 本記事では、DRの基本やIoT技術を活用した導入方法、成功事例を解説します。
デマンドレスポンス(DR)とは?
DRの基本的な仕組み
デマンドレスポンス(DR)は、電力需要を調整することで電力の需給バランスを最適化するしくみです。ピーク時の電力使用を抑える「下げDR」と、需要が少ない時間帯に使用を促進する「上げDR」の2種類があり、これにより電力の安定供給を図ります。

企業にとってのメリット
DRの導入は、企業に次のようなメリットをもたらします。
- 電力コストの削減:ピーク時の使用量を抑えることで、電力料金の最適化やインセンティブ(報奨金)の獲得が可能。
- エネルギー効率の向上:電力使用を可視化し、無駄な消費を削減。
- 環境負荷の低減:カーボンニュートラル達成に貢献。
さらにDRの普及は、国が掲げる再生可能エネルギーの比率の目標(2030年までに36~38%)の達成に大きく寄与すると期待されています。
IoTで加速するDR
IoTでDR導入が加速する理由
従来のDRは手動での調整が必要でしたが、IoTの活用により自動化が可能になります。 たとえば、IoTセンサーやスマートメーターにより、電力使用状況をリアルタイムで把握し、ピーク時には自動的に制御を最適化できます。蓄積された電力使用データを解析し、ピークカットや最適な運用スケジュールの自動生成も行えるようになります。さらに、クラウドとの連携が進めば、複数拠点のエネルギー管理の一元化や遠隔からの最適な制御も可能になります。
IoTの活用により低コストで実現するDR
IoTを活用することで、企業は既存設備を大幅に変更することなく、低コストでDR導入を進めることができるようになってきました。 次のようなIoTデバイスやシステムは後付けが可能なものも多く、大きな効果が望めます。
- スマートメーター:既存の電力計にIoTアダプターを取り付けることで、電力データをリアルタイムで取得し、DRイベント(*)時の自動調整を可能に。
*DRイベントとは、電力需給のバランスを調整するための手法です。電力会社が需要家に対し、節電や使用時間の変更を促すことで、ピーク時の電力消費を抑えます。これにより、電力系統の安定や再生可能エネルギーの効率的な活用が期待されます。 - 無線IoTセンサー:設備ごとに無線センサーを設置し、ピーク電力使用を自動で抑制するシステムを構築。
- クラウド型エネルギー管理システム(EMS):設備ごとのデータをクラウド上で統合し、AIを活用して電力負荷を最適化し、DRの効果を最大化。
このようにIoTを活用することで、企業は大規模な設備投資なしにDRのしくみを導入し、電力コストの削減とエネルギー効率の向上を実現できます。
〈参考〉次世代型エネルギーマネジメントプラットフォーム「Familia Energy」
ハウディは、IoT、AI、クラウドなどの最新技術を活用したエネルギーマネジメントプラットフォーム「Familia Energy」を提供しています。IoTセンサーによって収集される電力量や温湿度のデータを可視化し、設備を自動制御して建物全体のエネルギーの浪費を防ぎます。IoTセンサーやワイヤレスアダプターを用いることで導入時の工事を最小限に抑えられるため、導入コストを削減できるメリットもあります。

IoT×DRの成功事例
IoTとDRの融合は、さまざまな分野でエネルギー管理の最適化に貢献しています。以下に具体的な成功事例を紹介します。
宮古島のエネルギーマネジメントシステム
沖縄・宮古島では、日新システムズが開発したエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用し、家庭や事業所のエネルギー使用を効率化しています。2016年から島全体を対象に始まった取り組みで、エコキュート・太陽光発電・蓄電池を戸建住宅や集合住宅、事業所などに設置し、クラウド経由で遠隔監視・制御することで、再生可能エネルギーの有効活用と電力の需給最適化を実現しています。
2025年現在、このプロジェクトは実証段階を経て実ビジネスとして展開されており、約1,000世帯を対象にシステムが稼働中です。島全体で持続可能なエネルギー利用を目指す先進的な取り組みとして注目されています。
小売業におけるIoT活用 – ウォルマート
ウォルマートは、IoTを活用したDRシステムを導入し、エネルギー消費の最適化を実現しています。各店舗の冷蔵庫や空調設備にセンサーを設置し、これらのデータを一元管理することで、リアルタイムでの温度調整や消費電力の最適化を可能にしました。
コロナ禍では、営業時間の変動にも柔軟に対応し、複数店舗の設備を自動制御することで手動調整と比べ大幅な省力化を達成。これにより、エネルギー効率の向上と運用コスト削減を同時に実現しています。
製造業におけるデマンドレスポンス活用 – 株式会社浅井ゲルマニウム研究所
健康食品や化粧品の原料を製造する浅井ゲルマニウム研究所では、デマンドレスポンスの手法を積極的に取り入れ、電力の「見える化」を活用し、電力市場の価格変動に応じたエネルギー管理を実施しています。具体的には、需要が低く電力価格が安い時間帯に清掃や空調の運用をシフトさせる「上げDR」を導入し、市場価格が高騰する時間帯には、空調設備の稼働を抑えるなどの調整を行い、電力使用量の最適化を図っています。
まとめ
デマンドレスポンス(DR)は、電力需給の最適化を通じて企業のコスト削減と環境負荷低減を両立できるしくみです。特にIoTを活用することで、より低コストで効率的なDRの導入が可能になり、多くの企業が活用し始めています。電力の需給調整がしやすくなり、再生可能エネルギーとの連携強化も進む時代において、IoT×DRの導入は企業の競争力を高める重要な戦略となるのではないでしょうか。