2025.09.25

物流DX:センシングで実現するスマートロジスティクス

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パンデミックや災害リスク、需要の多様化など、物流・サプライチェーンを取り巻く環境は大きく変化しています。こうした状況下、業務全体をデジタル技術で見直す「物流DX」の重要性が高まり、中でもIoTやセンサーを活用した「スマートロジスティクス」は、物流DXを具体化する手段として注目されています。本記事では、このスマートロジスティクスを支えるセンシング技術と、その効果について解説します。

物流DXとスマートロジスティクス

深刻な人手不足や業務の属人化、非効率な在庫管理など、物流業界は長年にわたり多くの課題を抱えてきました。こうした課題の抜本的な解決を目指して進められているのが、物流のあり方そのものを見直す「物流DX」です。業務プロセス全体をデジタル技術で再構築し、持続可能なオペレーション体制への転換を図る取り組みが各地で加速しています。

物流DXの鍵となるのが「可視化」と「最適化」です。現場の状況をリアルタイムに把握し、データに基づいて判断・制御を行うには、センシング技術の導入が欠かせません。こうした技術を現場に実装し、物流全体のパフォーマンスを向上させる取り組みが「スマートロジスティクス」と呼ばれ、物流DXの中核を担っています。

センシング技術による「可視化」

スマートロジスティクスの現場では、さまざまな種類のセンサーが活用され、モノの動きや状態をリアルタイムで把握する「可視化」への取り組みが進んでいます。

RFID(ICタグ)

RFIDは「Radio Frequency identifier」の略で、専用タグのデータを非接触で読み書きする技術です。物流センターや店舗などで入出庫管理や在庫管理に活用されています。一括読み取りが可能なため、バーコードより作業時間を大幅に短縮できます。人手によるチェック作業が減ることで、ヒューマンエラーの防止にもつながります。

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RFIDのイメージ(出典:経済産業省商務流通保安グループ流通政策課「参考資料」2017年4月)

GPSセンサー

トラックや配送車両に搭載されるGPSセンサーは、現在地や走行ルートをリアルタイムで把握するために使用されます。これにより、交通渋滞や遅延の発生を事前に察知し、最適な配車やルート変更が可能になります。配送の効率化や顧客満足度の向上につながる重要な技術です。

温度センサー

食品や医薬品などの温度管理が必要な貨物では、温度センサーによって輸送中の温度を常に監視し、温度が適切に保たれているかどうかを確認できます。これにより、コールドチェーンにおいて品質保持が実現し、品質トラブルや返品リスクを低減できます。

衝撃センサー

精密機器や割れ物のように輸送中の衝撃に弱い荷物には、衝撃センサーが有効です。輸送中に加わった衝撃の強さやタイミングを記録することで、破損の原因特定や品質保証、さらにはクレーム対応のエビデンスとしても活用できます。

IoTプラットフォームとの統合

これらの各種センサーから得られたデータは、IoTプラットフォームによって一元的に集約・可視化されます。拡張性に優れたIoT基盤により、複数の物流工程を横断してモニタリングが可能となり、管理者はダッシュボード上で全体の状況を把握しながら、リアルタイムに判断を下すことができます。

「可視化」から「最適化」へ:サプライチェーン全体への波及

センシング技術は、単に物流の可視化を実現するだけでなく、サプライチェーン全体の効率化と最適化に貢献します。

需要予測と在庫最適化

現場から集められたセンシングデータは、AIや分析ツールと組み合わせることで、需要予測の精度を高め、在庫の過不足を防ぐ手段として活用されます。これにより、機会損失や不良在庫のリスクを最小化できます。

リードタイムの短縮

物流プロセス全体が可視化されることで、どこにボトルネックがあるかを迅速に把握し、リソースの再配置や工程の最適化が行えます。結果として、調達から配送までのリードタイムを短縮し、サプライチェーン全体のスピードが向上します。

環境負荷の軽減

輸送ルートを見直したり、再配達を減らしたりすることで、トラックの走行距離や燃料消費量を減らすことができ、結果としてCO2の排出も抑えられます。さらに、温度管理の強化によって食品ロスの発生を防ぎ、ESG(環境・社会・ガバナンス)視点での価値創出にもつながります。

大手流通業ではRFIDの導入が進んでいます。たとえばユニクロでは、2018年に全商品にRFIDタグの貼付を開始し、棚卸作業時間を約90%削減。データに基づく在庫の最適化により、欠品率を下げながら過剰在庫も抑制しています。センシングによる効果は、現場と経営の両面において顕著に表れています。

まとめ

センシング技術の活用は、物流業務の効率化やサプライチェーン全体の調和的な運用を支える基盤となります。さらに、センサーで得たリアルタイムデータを活かせば、業務の質だけでなく環境配慮や社会的価値の向上にもつながります。今後は、AIや自動制御との連携により、より高度な予測型ロジスティクスへの進化が期待されます。

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